2019年2月2日土曜日

新しい保全活動ブログ

井の頭かんさつ会のホームページを引っ越したついでに、新たな「井の頭かんさつ会保全活動ブログ」を作りました。

井の頭かんさつ会保全活動ブログ

今後はそちらに記事を投稿しますので、よろしくお願いします。

2014年4月23日水曜日

モツゴの産卵

産卵床と卵
12日にモツゴを放した増殖いけすで、16日にはさっそく産卵が確認されました。その後も順調に産卵が続き、23日現在、3つの産卵床(調味料入れ、歯ブラシ立て、素焼きの植木鉢)に卵があります。

右の写真は、最初に産卵が始まった調味料入れです。つり下げられて下になった部分にびっしりと卵が産み付けられています。モツゴはなぜかこの容器が好きなようで、昨年最初に産卵したのもこの容器でした。


卵の世話をするオス
モツゴのオスは卵を懸命に守ります。他の魚などに食べられないよう守るだけでなく、卵が汚れて発生や孵化の障害にならないように常に掃除を怠りません。そのようすを撮影した映像から切り出した一枚が右の写真です。


発眼した卵
卵は順調に発生を続けているようで、眼ができている卵がかなりありました。孵化した仔魚が成魚に食べられてしまわないように、産卵床を網目の細かい仔魚いけすに移し、そこで孵化させます。親魚を一緒に引っ越しさせるのは難しいので、親の保護がなくなりますが、卵が発眼していれば問題なく孵化します。後に産み付けられた卵は発眼していませんが、卵が汚れなければ大丈夫だと昨年の経験で分かりました。

2014年4月12日土曜日

活動開始

①モツゴを放流
花見の混雑も治まったので、2014年度の保全活動を開始しました。今日の参加者は14名と見学の1名、活動メニューは、
①メンバーが自宅で飼育していたモツゴの放流
②ひょうたん池でのモツゴ増殖の開始
③弁天池の外来魚駆除
でした。

①では、お茶の水池の2か所に計103匹のモツゴを放流しました。後日もう少し追加で放流できると思います。

②増殖いけすにモツゴを収容
②は、ひょうたん池に散った桜の花びらを掃除した後、昨年も使用した保護・増殖いけすを設置し、メンバーが飼育したモツゴのうち大きめの個体15匹を収容しました。そして、産卵床になる植木鉢やプラケースを数個、水中にぶら下げました。
昨年は4月17日には多数の卵が見られましたが、今年はどうでしょうか。

③では、オオクチバス3匹とブルーギル72匹を捕獲しました。
もし弁天池でモツゴが獲れた場合は、ひょうたん池のいけすに収容して繁殖に加わってもらうつもりでしたが、今日は獲れませんでした。

2014年4月9日水曜日

濁った池とマシな池

ホシガタケイソウとオビケイソウ
かいぼりをしたお茶の水池とボート池の水がきれいです。澄んでいるとは言えないものの、気持ちよく感じる程度に透明度が保たれています。それに対して、かいぼりをしなかった弁天池の水は、かいぼり前より濁っています。比較のため井の頭池の5か所(ひょうたん池の保護池、ボート池尻、七井橋、お茶の水池の野口雨情碑付近、および弁天池仕切り付近)で、水の濁りの主因である水中のプランクトンを観察してみました。

どの場所でも、大部分を占めていたのは珪藻でした。星形につながったホシガタケイソウが優先していて、次に多かったのがコイル状や棒状につながったアウラコセイラの仲間です。フナガタケイソウやオビケイソウも見られました。緑藻(クンショウモ、ボルボックス)、鞭毛虫(ツノオビムシ)も見つかりましたが、ごくわずかでした。ラン藻はなかったと思います。動物プランクトンはワムシがけっこういました。ケンミジンコの幼生が見つかりましたが、ミジンコ類の発生はまだのようでした。結局、存在するプランクトンの種類は5か所ともほとんど同じで、その量(密度)が違うのだと分かりました。水中の栄養素(窒素、リンなど)の量が違うのでしょう。

弁天池の富栄養度が増した原因は、仕切りができたため水の入れ替えが十分行われなくなったことと、かいぼりで捕獲したコイ、ヘラブナ、ギンブナ、ナマズなどを全部弁天池に放したため、生き物密度が非常に高くなったからでしょう。それに対して、かいぼりをした池の富栄養度が減少したのは、ひとつには、完全に乾かなかったとはいえ、少しは底泥を大気にさらすことができたからかもしれません。また、たくさんいたコイやフナが一掃されて汚染源が減ったことも大きく効いていると思います。さらには、その結果増えたユスリカが栄養素を池の外へ運び出してくれているのも、多少影響している気がします。池干しの効果は今後しだいに失われていきますが、コイなどが減った効果や、ユスリカの活躍は今後も続くはずです。



2014年4月5日土曜日

かいぼり後に増えたもの

かいぼりが終わり井の頭池に水が戻ってから、キンクロハジロがよく潜水をするようになりました。最近はそれがさらに盛んになり、キンクロが池のあちこちでしきりに潜水を繰り返す光景が見られます。1回の潜水は30秒間ほどです。こんなにも熱心に潜る目的は、餌を採るためとしか考えられません。いったい彼らは何を採っているのでしょうか。

キンクロハジロは潜水して二枚貝やエビを採ると本に書いてあります。しかしかいぼりではごくわずかのタイワンシジミ(外来種)しか見つかりませんでした。また、保護していたテナガエビを放流したものの、池の真ん中でどんどん捕れるほど数は多くありません。かいぼり後にキンクロの潜水頻度が次第に増えたということは、採っているのは、かいぼり後に増えた生き物だと思います。かいぼりで見つかり今の時期でも増える生き物となると、アカムシ(赤虫:ユスリカの幼虫)しか考えられません。アカムシを食べていたコイやギンブナやブルーギルなどがかいぼりで除去されたので、アカムシが爆発的に増えているのではないかと思います。実際、池の畔や橋の近くを飛び回っているユスリカ成虫の数が多くなった気がします。

アカムシはモツゴやエビなどにとって重要な食糧です。ユスリカが飛び回ると来園者には迷惑かもしれませんが、池の栄養分を池の外に運んでくれるので、池の浄化にも役立ちます。

2014年4月2日水曜日

引っ越し屋

 3月25日に弁天池仕切りでブルーギルの捕獲テストをしていたとき、写真のニホンイシガメが甲羅干しにやって来たので、捕獲しました。大きめのメスでした。

かいぼりでは8匹のニホンイシガメが保護され、弁天池に放されました。これはそのうちの一匹だと思います。弁天池にはイシガメが繁殖できそうな場所がないので、元の場所、かいぼりが終わったお茶の水池に放しました。カメは自分で池に入り、元気に泳いで行きました。

とはいえ、1匹だけで繁殖はできません。今後も、弁天池で捕獲できたニホンイシガメはお茶の水池に返します。

弁天池には外来魚が残っているので、そこで獲れたモツゴや在来エビも、外来魚がいなくなったお茶の水池やボート池に放すことにしています。28日には、先の記事に書いた1匹を含め3匹のモツゴが獲れたので、お茶の水池に放しました。

また、弁天池で獲れたモツゴの一部をひょうたん池のいけすに収容して産卵させ、あるていど育った稚魚を池に放流する活動も予定しています。

メダカの学校?

3月29日に狛江橋から撮った写真です。小魚の群れに気付いた女性が「メダカ?」と言っていましたが、井の頭池にメダカはいません。小さなブルーギルの群れです。

金網が張られている壁は弁天池(手前側)とボート池を仕切る矢板です。弁天池はかいぼりを行わなかったので、水が漏れないように、この仕切りが造られました。ボート池に水が戻った後も、弁天池にいる外来魚がボート池に行かないように、仕切りは2年後の2回目かいぼりまでこのまま残されます。弁天池には大量の井戸水が供給されているので、その水は金網を通ってボート池に流下します。

仕切りの弁天池側に、なぜか魚やカメが集まってきます。コイ、ヘラブナ、写真のブルーギル、オオクチバス、ナマズ(夜)、ミシシッピアカミミガメ、クサガメ、ニホンイシガメの目撃情報があります。カメたちは甲羅干しに来ているようですが、魚が集まるのは餌が集まってくるからでしょうか。ボート池に行きたがっている魚もいそうです。

ブルーギルがあまりに目につくので、28日に5個のスプリングカゴ(もんどり)を仕掛けてみたら、ブルーギルが計69匹、モツゴが1匹獲れました。モツゴはお茶の水池に放しました。しかし翌日には再びこのありさまです。ここで捕獲作業をすれば効率的にギル駆除ができそうです。

池畔のソメイヨシノがどんどん開花している暖かい晴れの日。多くの来園者が狛江橋で足を止めるので、私は説明係をしました。かいぼりが実現し、それが広く報道されたおかげで、井の頭池の外来生物問題を知っている人が、かいぼり前よりはるかに増えたと感じました。とはいえ、まったく知らない人もまだ大勢いました。弁天池の外来魚駆除、在来魚の増殖、啓発活動などなど、今後もやるべきことがたくさんあります。会としての保全活動開始は、花見の混雑が収まるころを予定しています。