2011年3月26日土曜日

冬季漁法終了

この度の大震災で被災された皆様にお見舞いを申し上げますとともに、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りします。

ここ東京でも、厳しい状況が続く原発事故や、電力不足による計画停電などの影響により、人々の気分が暗くなりがちで、活力がやや落ち込んでいるように見えます。その一方で、自然の営みは地震の直後から停滞することなく回り続けています。ですから我々も、震災に気分的に負けることなく、自然観察会や環境保全活動を続けています。

今日は、この冬最後の「外来魚捕獲実験」を行いました。 今日で、冬季の漁法(石橋下の追い込み漁と岸辺でのガサガサ)は終了です。12月25日から今日までの期間に捕獲したブルーギルは計1,178匹でした。昨季の約3分の1です。この結果が池全体のギル生息数の変化を正確に反映しているわけではないと思いますが、ブルーギルがだいぶ減ったのは確実です。オオクチバスも間違いなく減っています。4月からは、それらの再生産(繁殖)を阻止するための繁殖抑制活動に移行します。 ガサガサでは、在来の魚やエビも獲れるので、その状況もある程度分かります。残念ながら、外来魚の減少に反比例して在来種が増えているわけではないのが実状です。もっと外来魚を減らす必要があるということでしょうか。

写真は、お茶の水池の一角で獲れたエビです。大きい二匹がスジエビの成体、小さい三匹はテナガエビの稚エビです。この冬、スジエビがまったく獲れなかったので心配していました。右側のスジエビはお腹に卵を持っています。増えるといいのですが。

2011年3月7日月曜日

外来魚の減らし方・バス編

写真は昨年4月17日、オオクチバスの産卵チェックをしているところです。池がこんなに浅いわけではなく、水中の人工物(通称:土管)の上で作業をしているのです。元々は水生植物を生やすためだった土管にバスが好んで産卵することを見つけてからは、池の3箇所に計20基ある土管は繁殖抑制の最重要拠点になりました。卵が見つかれば除去します。卵は3日ほどで孵化するので、その時期は毎週2回のチェックが欠かせません。昨年は、浅い場所に設置した伊豆沼式人工産卵床も含めて、計49回産卵を発見し、卵を除去しました。

それ以外の場所で誕生した稚魚は網で捕獲します。昨年は夜に稚魚を捕獲する方法を試し、成果を上げました。昼間は逃げ足の速い稚魚が、夜は岸辺でボーっと群れていて、岸から網で掬い放題に掬えることを発見したのです。

さらに成長した若魚、大きな成魚は、手釣り(竿を使わない釣り)で捕獲しています。卵を除去しても成魚が残っていればまた産卵するし、成魚を獲っても若魚がすぐに大きくなるので、成長段階すべてに捕獲圧をかけることが重要と考えています。

我々は活動開始以来、その努力と工夫を続けています。他の地域で活動されている方々に教えを請うとともに、井の頭池をよく観察して、外来魚の知られていない習性の発見や、井の頭池に適した手法の開発に努めています。井の頭かんさつ会は自然観察者の集まりですから、生き物の観察は得意です。1月末の琵琶湖での「外来漁情報交換会」では、我々が発見・考案した夜のバス稚魚捕獲ついても発表し、多くの質問をいただきました。

以上のような活動の結果、井の頭池のオオクチバスは確実に減っています。

2011年3月5日土曜日

冬の外来魚活動

今日の活動で捕獲した外来種です。ブルーギル73匹、オオクチバス(稚魚)2匹、アメリカザリガニ(稚エビ)1匹がいます。そのほかに、手釣りで全長41cmのバスを1匹捕獲しました。

我々が冬にも外来魚捕獲実験をしているのは、冬季だから可能な漁法を発見したからです。それは、「お茶の水」から流れ出している温かい地下水を求めて石橋下に集まるギル稚魚を一網打尽にする方法です。最初に試した2008年1月26日には2,799匹も獲れました。しかし今日そこで獲れたのは10匹だけです。今季最も獲れた12月25日でも269匹でしたから、井の頭池のブルーギルは間違いなく減っています。

その10匹以外のギル、バスとザリガニは、他の場所でのガサガサで獲りました。冬には岸辺から水中に伸びた木のひげ根に多くの稚魚が隠れています。それを池に入って網で捕獲するのです。獲れる数はそれほど多くはありませんが、冬まで生き延び成長した稚魚を捕獲するのは、夏の生まれたばかりの稚魚を捕獲するのと比べて、何倍もの生息数低減効果があると考えています。

手釣りした41cmのバスはメスで、卵巣が十分成熟していて、水温さえ上がればすぐ産卵できる状態でした。

我々の外来魚活動は、今後は、産卵前のバスとギルの成魚をできるだけ多く捕獲するとともに、産卵された卵を見つけて孵化を阻止する、繁殖抑制へと移っていきます。